2016年12月09日

最期まで

最期まで

“これを彼奴に飲ませれば、
 陛下をお助けします”

此奴の言葉が
病の身体を更に蝕んでいく

自己保身の為に、
真に自分を護るものを消せというのか



そんなことは出来ない

こんないつ消えるとも分からない
自分の為に、
あの者の命を差し出すことは出来ない



薬を一気に煽る


その瞬間、
焼け付くような痛みが身体中を駆け巡る

全身が少しずつ焼け爛れていく感覚に
激しい痛みが押し寄せる


こんな
こんな苦しみを
あの者に負わせようとしたのか


気付くと、
涙を流して自分を抱き締める柏傲灣示範單位この男の姿があった

もう自分の気力も僅かだと感じていた


“天の話をしてくれ・・・”


馬のない馬車
光が溢れた場所


行ってみたい
この者が見た世界を見てみたい


身体中の痛みが限界を超える

もう耐えられない


苦しい

苦しい

苦しい


“この苦しみを
 取り除いてもよろしいでしょうか”



あぁ、
この者に枷を課してしまった

自分の死でまた苦しませてしまう


負担しかかけないこの身を呪った



すまぬ



Posted by 羨む  at 11:45 │Comments(0)

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